矯正治療中のブラッシング

矯正中の歯磨きについて

矯正治療は長期間にわたります。その間、ブラケット バンド ワイヤー が歯にずっと装着された状態です。そのため、口の中が装置で複雑になり、治療前と同じようなわけにはいかない点がでてきます。

矯正中の不安

でも、それは食事や歯磨きに少し気を使えばクリアできること。今までよりも歯を大事にしてあげよう。
最初は慣れるまで大変ですが、自然と意識するようになり、歯磨きの習慣が身に付いてきます。

「治療中デンタルケアをきちんとできるかな。。。」治療前は誰もがそんな不安を感じがちですが、まずはご安心を。矯正歯科ではリスクの高くなる治療中に備えてセルフケアの指導に力を入れています。とはいえ、日常のお手入れで、歯を健やかにキープするのは自分自身。

ちゃんとした意識を持って、食後の歯磨きをしっかりするよう心がけましょう。「忙しい日々の中で毎回そんなに気を配っていられない」という人は、むし歯のリスクを減らすためにも、最低限一日1回は丁寧にブラッシングを。睡眠中は、唾液の分泌量が減るため、歯垢が口の中に残っているとむし歯のリスクが高まります。そのため、夜の歯磨きを特に丁寧にするのが得策といえるでしょう。

装置を装着した後、口の中の最近(歯垢)は通常の2~5倍に増えると言われています。

食べカスを取るだけでなく、歯の表面、装置の隙間についた細菌を磨き落とすのが目的!

装置がついて口の中が複雑になり、歯ブラシが届きにくい、場所ができます。口の中はむし歯になりやすい状態!!

矯正治療中にむし歯になった場合は矯正治療を一旦、ストップせざる得なくなり、結果として治療が遅れてしまう可能性があります。

矯正治療が終わってもむし歯が出来ていたら、せっかくキレイな歯並びになったのに、また歯医者さんに通わなくてはなりません。

いろいろなグッズを利用して丁寧にじっくり汚れを落とそう  
~治療を成功させるためにも口の中をキレイに保つことが大切~
キレイに並んだ歯を思い浮かべて頑張りましょう

矯正中の歯磨きの基本

歯磨きセット歯磨きタイムには手鏡を使って! → 歯と歯の間、装置の隙間や奥歯にも歯ブラシが届いているか自分の目で確認しながら磨こう。手鏡を口元に引き寄せ、自分の歯を間近で見ながら磨くことで歯垢が残っているかどうかを確認しながら磨くことができます。

歯磨きセット歯磨き粉の量は少なめで! → つけすぎると泡だらけになって、口の中がちゃんと見えなくなってしまいます。

歯磨きセットペングリップで軽い力で磨く! →握り持ちだと必要以上に強い力が加わり装置に負担をかけてしまうことがあります。ペングリップは、無駄な力が加わりにくく、小回りがきく握り方です。
(力を入れすぎると、歯は削れ、歯ぐきにもダメージ。いつも力を入れすぎていると、歯ぐきが退縮し、歯ぐきに覆われていた部分が露出して知覚過敏になってしまう。歯の根の部分はやわらかい組織しかないので、むし歯にもなりやすいです。)

歯磨きセットしっかりブクブクうがい! →歯磨きの前に、ブクブクうがいすることにより、大きな食べ物のカスを取り除くことができます。

歯磨きセット歯ブラシの交換目安 →矯正治療中は、装置の上からゴシゴシ磨いたり、強い力で磨くと歯ブラシの毛先は早く傷みます。装置が付いている場合、毛先の傷みが通常より速くなるのは仕方ありませんが、正しい磨き方をすれば、一ヶ月くらいは使えます。

歯磨きセット外出先でのデンタルケア →治療中に一番困るのは、もしかしたら外出中の食事の席かもしれません。特に誰かと一緒のときは、歯に付いた食べカスを見られないかとハラハラ。そうなると、せっかくの料理や会話も楽しめません。そんなときは、ポーチに小さな鏡を入れといて、さりげなくチェックしたり。要注意な食材(ホウレンソウ、もやし、麺類など)は、後回しに食べて最後に席を立って洗面所で確認したりするのがよいです。
また、食後すぐに歯磨きができないときは、うがいをして、歯間ブラシでお手入れするだけでも、かなりスッキリ。キシリトール100%配合のガムやタブレットも、食後すぐにかむとむし歯を予防する効果が高まるため、おすすめです。

矯正中のブラッシングアイテム

矯正装置がついた状態で普通に歯を磨こうとすると、装置にばかり歯ブラシが当たってきちんと磨けません。そこで活用するのが、ブラッシングアイテム。1本の歯ブラシですべてをまかなおうとするよりも、部位に応じたアイテムを用意して、使い分ける方が、早くキレイに仕上がります。
*毎食後、歯磨きできないという人でも、一日1回ブラッシングアイテムを使った就寝前の念入りケアで徹底的にプラークを落とせば、むし歯のリスクをかなり減らすことができます。

歯ブラシ
歯ブラシメインで使う歯ブラシ。全体のブラッシングに使用します。
矯正中の方に当院でおすすめしている歯ブラシ。
●インターブレイス  ●ルシェロ
●システマゲンキ  ●ペンフィット

ブラッシング方法へ

オーソワン
歯ブラシ歯のデコボコや、抜歯後の隙間、歯と歯の間、矯正装置の周りなど、通常の歯ブラシではうまく届かない部分をピンポイントで磨くのに便利。
ブラッシング方法へ

歯間ブラシ
歯間ブラシオーソワンよりも小さいので、より細かい部分の汚れを取ることができます。もともとは、歯と歯の間を磨くものですが、矯正治療中はワイヤーの下や矯正装置の周りを磨いたり、食べカスを取るのに便利!
つまようじは歯ぐきを傷つけやすいので注意!!
使い方を誤ると、歯ぐきを傷つけたり、歯ぐきの退縮を引き起こしたりすることもあるので要注意!使い方をきちんと守って、適度な頻度で使おう。
歯間ブラシの使い方へ

デンタルフロス
デンタルフロス歯間ブラシが入らない狭い間やむし歯になりやすい歯と歯の間の食べカスやプラークもキレイに取り除けます。ブラッシングしても、歯間にはこんなに汚れが残っているのか。とびっくりしつつ、お口の中がさっぱり!
一日1回の使用でOK!!
フロスの使い方へ

ペースト
ペースト薬局や医院で販売しているペーストでよいですが、泡で口の中が見えなくなってしまわないように少量で!!

ジェルコート
仕上げにジェルコートを使用するのがおすすめ。むし歯予防に◎。
通常の歯磨きのあと、歯ブラシにあずき大くらいのジェルコートをつけ、1分ほど歯全体に行きわたらせるように磨くだけ。その後は、口をすすがず、つけてから30分間、飲食を控えると効果的。

矯正中のブラッシング方法

歯ブラシ
ポイント
●軽い力で!歯ブラシの毛先を使って! → ペングリップ
●小刻みに振動させる!
●歯ブラシを歯肉に対して45°くらいに傾けて!
●3度分け磨き

基本
歯ブラシの基本特に汚れのつきやすいブラケットの周りは、歯に対して45°の角度で歯ブラシを当てる。「ななめ上」「ななめ下」「正面」の3方向に分けて優しく丁寧にブラッシングを。
この時、毛先を軽く押しこむようにして歯を1本ずつ磨くのがポイント。

汚れがたまりやすい部分
上のやり方で全体を磨き終わったら、この汚れがたまりやすい部分をポイントで磨いていきましょう

歯と歯ぐきの境目<歯と歯ぐきの境目>
45°にブラシを当てて小刻みに。

前歯の裏<前歯の裏>
歯ブラシをタテにして、1本ずつかき出すように。

奥歯の溝<奥歯の溝(かみ合わせ面)>
デコボコが多く食べカスが入りこみがち。歯ブラシを平行に小刻みに。

奥歯の裏<奥歯の裏>
歯ブラシを斜めに倒して、優しく小刻みに。歯ぐきをマッサージするような感じで動かすと血行促進に。

奥歯のほお側<奥歯のほお側>
ここは歯ブラシが届きにくく、特に上の奥歯は磨き残しがち。歯ブラシのヘッドを小刻みに動かして、1回ずつ優しく押し込むような感じで。

オーソワン
オーソワン使用時バンドの入った歯とその隣の歯、バンドと歯肉の境目は特に注意して磨いて。磨き残しやすい場所!

歯と歯の間に軽く押し当て、小さく円を描くような感じで。

歯間ブラシ
歯ブラシの基本ワイヤーの下もスルッと入るので、ブラケットの横のみぞも磨けます。上の歯は、ワイヤーの上からだと入りにくいので、ワイヤーの下から差し込むようにするといいです。

デンタルフロス
使い方
デンタルフロス1(1) フロスの長さは約40cm。(指先からひじまでが大体の目安)

デンタルフロス2(2) フロススレッダー(糸通し)の輪の中にフロスを通す。

デンタルフロス3(3) フロススレッダーの先をワイヤーの間に通し、そのまま引き出す。

デンタルフロス4(4) フロスがワイヤーの下に通ったら、両手の中指の関節辺りにゆるく巻きつけ、10~15cmくらいの間隔になるようにする。

デンタルフロス5(5) 両手の親指と人差し指でつまんでピンと張ってみたとき、幅が2~3cmになるようにする。

デンタルフロス6(6) 歯と歯の間にゆっくりスライドさせながら入れていきます。歯の側面をこするようにして汚れを落とします。
*コンタクトポイント ・・・・・・ 歯と歯の接触しているところを通過するときは少しきつい感じがしますが、パチンと勢いよく入れると歯ぐきを傷つけてしまうので注意して下さい。

場所によって使い方が変わります
場所による磨き方の違い
磨き方
磨き方

歯と歯ぐきの境目よりちょっと下、つまり歯ぐきに少し隠れるまでフロスを入れます。
ここが一番歯垢がたまりやすい部分。そして、歯に合わせているフロスがVの字になるように!
沿わせたらゆっくり前後に動かしながら上へ。歯の片側を掃除し終わったら、もう片方の歯にも沿わせてお掃除しましょう。次の歯間に移るときは使用済みの部分をずらして、常に新しい部分でお掃除して下さい。すべての歯間をお掃除し終わったら軽くうがいをしましょう。

注意点

矯正中のブラッシング Q&A

Q1. 矯正治療の調整後、歯が痛くて磨けない。
A1. 通常、治療後2~3日で歯の痛みはおさまりますが、歯が痛いときには、軽い力でそっと磨くようにしてください。歯と歯の間に食べ物が詰まったときは、歯間ブラシを使うと便利です。うがいをしっかりするのも大切です。

Q2. 歯磨き粉は使った方がいいですか。
A2. 歯に付いた汚れ(歯垢)は、歯磨き粉では落とせません。歯磨き剤を使うと、磨いている部位がよく見えないうえ、香りや清涼感があるため、磨けた気分になってしまいます。量を少しにするようにしてみてください。歯の着色を落とすためなど、目的・用途にあわせての使用をおすすめします。

Q3. 歯肉が腫れて痛くて磨けない。
A3. やわらかめの歯ブラシやオーソワンなどで、腫れている歯肉に当てない、擦らないように磨いてみてください。それでも痛むようなら無理をせず、早めに医院で診てもらって適切な指導を受けて下さい。ワイヤーが当たったり、くいこんでいることもあります。

Q4. 電動ブラシは使ってもいいですか。
A4. 電動ブラシは動きや力をコントロールすることが難しく、特に複雑な装置が付いている場合には、磨きたい部分が正しく磨けない、装置が変形するなどの恐れがあります。基本的には、手用の歯ブラシで正しい磨き方を身につけることをおすすめします。

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用

  1. 治療開始当初は矯正装置による不快感、痛み等があるものの、数日から1~2週間で慣れることが多いです。
  2. 歯の動き方には個人差があるため、想定した治療期間より延長する可能性があります。
  3. 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正歯科治療には患者さんの努力・協力が必要不可欠です。それらが治療結果や治療期間に影響します。
  4. 治療中は、装置の装着により歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
  5. 歯を動かすことで歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
  6. ごくまれに歯が骨と癒着し、歯が動かないことがあります。
  7. ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受け、壊死することがあります。
  8. 治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
  9. 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
  10. 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
  11. 歯を削ることで歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
  12. 矯正装置を誤飲する可能性があります。
  13. 装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、被せ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
  14. 装置を外した後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
  15. 装置を外した後、治療により変化した噛み合わせに合わせて被せ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
  16. 顎の成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
  17. 治療後に親知らずの萌出などの影響で凸凹が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると噛み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる場合があります。
  18. 前歯を後退させた治療後に、ほうれい線が深くなったり、口唇周囲の皺が目立つようになる可能性があります。
  19. 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

カウンセリングをおこなっております

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