とても重要な保定期間

数年の年月を経て美しく整った歯。矯正装置を取る日は、そんな歯並びと対面する日です。いよいよ待ちに待った「矯正装置をはずす」日の到来。装置を取る時には、麻酔などは使わず、まさに「一気にはずす」感じです。時間はほんの10分程度で終了し、その後、正しくキレイになった歯型をとります。その解放感から、つい「長かった治療もこれで完了!」と思いがちだけど、実は大切なのはここから!

治療が終わって数年、数十年経ったとき、治療直後のようなキレイな歯並びがキープできているかどうか。それは、矯正装置がはずれた後の保定観察期間の過ごし方に関わってきます。歯が新しい位置になじむまでは、保定装置をマジメにつけて、歯の後戻りを防ぐべし!

ところで、ホテイとは?
動かした歯が元に戻らないように保定装置(リテーナー)をつけて、正しい歯並びをキープする期間のことです。人為的な力を加えて動かした歯並びには「後戻り」あるいは「新たな不正」という現象が起こります。人の体は、成長・発育や加齢などで変化し続けています。これは口の中も同じで、歯は動かしたところにそのまま留まっているということは少なく、元いた場所に後戻りしようとしたり、新たにどこかに動こうとする力が常に働いているのです。まったく元の歯並びに戻ってしまうことはないらしいけれど、せっかくのキレイな歯並びはいつまでもキープしたいし、後戻りがひどくてもう一度矯正したい・・・なんてことにならないためにも、この保定処置をしっかり行いたいものです。

今までの苦労を水の泡にしてしまうような反作用(後戻り)と戦って、歯のまわりの組織を新しい環境になじませなきゃいけないのです。

リテーナーとは?
矯正前の位置に戻ってしまおうとする歯の力を抑制し、いつまでも正しい歯並びを保ち続けるための装置で、マルチブラケット装置とは違い、ものをかむときなどに生じる痛みはまったくありません。

取り外しができることがネックになって装着をサボれば、せっかくキレイに整った歯並びも元の悪い歯並びに戻ってしまいます。歯を動かしているプロセスと同じくらい、いや、それ以上にアフターケアは大切になります。つまり、正しくキレイな歯並びをできるだけ長くキープしたいと思うのであれば、一生つけるくらいの気構えが必要となってきます。

通常、リテーナーは動的期間と同じくらいの装着期間が必要とされていますが、なかには「リテーナーは歯のパジャマとして、毎日寝るときにつけていたほうがいい」という考えもあります。

保定処置は、後戻りの激しい最初の6ヶ月が勝負。この間にしっかりリテーナーとつき合っていれば、治した歯並びは安定し、6ヶ月後には、改造現象といって、歯の線維などが環境に適応して戻りが少ない状態に落ち着いていきます。この6カ月をがんばることができれば、リテーナーを使う生活にも慣れ、その後もきちんと続けられる確率がアップします。リテーナーによる保定は最低1年、できればずっと続けたいもの。なぜなら、前にもあげた通り、歯は一生動き続けるものだから。

治療には装置をつけて歯並びを整える期間と、整った歯並びを固定する期間があるのです。

歯のイラスト
装飾

自己管理で何十年経っても正しい歯並び

矯正を行う大人の場合、元々歯に対する意識の高い人が多く、また矯正中のケアなどで、歯磨きにも自信が出てくることでしょう。だからこそ、矯正後さらに歯を大切にしていく気持ちを持ち続けてもらいたいものです。
80歳になっても20本の歯を残そうという「8020運動」などもあるように、自分の歯で一生を過ごすことは、健康の面から考えてもとても重要なことです。

矯正が終わっても、リテーナーとうまくつき合う、マイ歯ブラシを持ち歩いて歯みがきケアを怠らないなどなど、生活の中に「歯をケアする」習慣を持ち続けるようにしていきましょう。また、リテーナーが壊れたり、調子が悪いと感じたら、先生に相談することも忘れずに。さらには、年に1回、定期検診を受けるのもおすすめです。

矯正後の歯並びのチェック、クリーニングなどを行います。そうすることによって、歯並びだけでなく、白くてキレイな歯をキープし続けることが可能になりますので、ぜひ受けるようにしていただきたいものです。

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用

  1. 治療開始当初は矯正装置による不快感、痛み等があるものの、数日から1~2週間で慣れることが多いです。
  2. 歯の動き方には個人差があるため、想定した治療期間より延長する可能性があります。
  3. 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正歯科治療には患者さんの努力・協力が必要不可欠です。それらが治療結果や治療期間に影響します。
  4. 治療中は、装置の装着により歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
  5. 歯を動かすことで歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
  6. ごくまれに歯が骨と癒着し、歯が動かないことがあります。
  7. ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受け、壊死することがあります。
  8. 治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
  9. 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
  10. 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
  11. 歯を削ることで歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
  12. 矯正装置を誤飲する可能性があります。
  13. 装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、被せ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
  14. 装置を外した後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
  15. 装置を外した後、治療により変化した噛み合わせに合わせて被せ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
  16. 顎の成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
  17. 治療後に親知らずの萌出などの影響で凸凹が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると噛み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる場合があります。
  18. 前歯を後退させた治療後に、ほうれい線が深くなったり、口唇周囲の皺が目立つようになる可能性があります。
  19. 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

カウンセリングをおこなっております

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